境界性パーソナリティー障害(BPD)について・基礎情報・支援情報

もくじ  

境界性パーソナリティー障害(BPD)とは  

境界性パーソナリティー障害は、青年期までに発症することが多い精神疾患の一つで、英語ではBorderline Personality Disorder、略してBPDとも呼ばれます。 気分の不安定さや著しい衝動性などを特徴としていて、症状は多種多様ですが、代表的なのは次のようなものです。
・見捨てられるのが不安で、必死にしがみつき相手を困らせる
・自殺企図や自傷行為を繰り返す
・めまぐるしく気分が変動する
・対人関係が両極端(理想化と過小評価)を揺れ動き、不安定
こうした症状は周囲の人にとって負担になりがちですが、多くの場合、本人も「感情のコントロールができなくて苦しい」「見捨てられるのが怖い」「自分には価値がない」といった思いを抱えて苦しんでいます。そのため、うつ病や不安障害、摂食障害、依存症など、他の疾患を発症してしまうことも少なくありません。

境界性パーソナリティー障害が発症する要因は、まだはっきりわかっていませんが、本人がもっている資質と生育環境の双方が影響していると考えられています。

 

よくある困りごと

・社会に知られてないため、誤解が生じる
境界性パーソナリティー障害は、まだ社会に広く知られていないため、周囲の人が症状を理解できず、性格や人間性に問題があると誤解して、離れていってしまうことがよくあります。

その結果、当事者は、ますます孤立して追いつめられ、家庭や仕事を失うなど、さまざまな問題につながってしまいがちです。

 

治療と回復へのために

・医療や専門家の力を借りる
境界性パーソナリティー障害は精神疾患の一つなので、精神科の治療の対象になります。まだ特効薬のようなものはありませんが、薬物療法によってつらさを緩和したり、精神療法によって症状を軽減したりすることが可能です。しかし短期間での改善は難しいとされ、時間をかけて取り組む必要があります。

・セルフケアの例
普段の生活を安定して送れるようにしたり、気分が不安定になったときに落ち着いたりするための自分なりの工夫=「セルフケア」の方法をもっておくことは、とても大切です。専門家の助言や当事者の体験談から、その例をいくつか紹介します。

◯とにかく自分を褒める
「コップを洗った」「お風呂に入った」など小さなことでもよいので、できたことやがんばったことに関して自分を褒めてみる。

◯「書く」ことで、安全に感情を吐き出す 心のありようを書いてみる
感情が不安定なときや衝動を抑えられないとき、ノートに書くことで感情を発散させる。文字だけでなく、絵に描いてみるのもOK。たとえば、赤いペンで人間の絵を描き、それをギザギザに傷つけたりすることで、自傷行為の代わりになったという当事者もいます。

◯記録をつけて、自分の「思考や行動のパターン」に気づく
ある出来事に対して苦しい感情が出たときに
①事実
②それに対してどう感じたか
③どうしてそう感じたか
④どうすれば良かったか
という4つの項目に沿って書いてみる。
これによって、自分の思考や行動パターンに気がつくことができ、トラブルがあっても、それをただの「悪いこと」で終わらせず、自分の気づきや変化を促す「きっかけ」にしていけるといいます。

他にも、「好きなことでリラックスする」や「少しぐらい手抜きしてもいいと自分に声をかける」など、多くの人がそれぞれに合ったセルフケアを工夫して生活しています。

 

周囲の人ができること

境界性パーソナリティー障害のある人の周囲は、本人の感情の変動や衝動的な行動に巻き込まれて、苦労させられることも多くあります。「危なっかしくて見ていられない」「しょっちゅう振り回されるので、何とかしてほしい」といった思いから、治療や回復を応援したいと考えるのは自然なことです。しかし治療や回復のプロセスは一直線に進まないことの方が多く、時に行き詰まって関係が悪化してしまうこともあります。周囲ができることは何か、そのポイントを専門家に聞きました。

・治ろうとしている当事者の後押しやお手伝いを
回復への原動力は本人にあります。周囲はそれを後押しする、お手伝いくらいの位置づけにとどめましょう。協力はうまくいけば、非常に重要な役割を果たします。しかし、ご家族も一生懸命なだけに、息詰まってしまうと苦しみも深く、ひどい有様になってしまうこともしばしばです。そういう時はいったん距離をお互いに距離をとりましょう。ただし、そんな場合でも「気持ちはそばにあるよ」と本人に伝えることは大切です。本人を孤独な気持ちにさせないようにしましょう。 (精神科医 林直樹さん)

・第三者の介入も有効です。
当事者、周囲の人だけでは解決が難しいなと思ったときは、保健所や児童相談所、訪問看護やカウンセリングなど、地域の支援機関に積極的に助けを求めてください。(精神科医 林直樹さん)

・長い目で見た関わりを
境界性パーソナリティ障害は治療や回復に時間がかかる精神疾患ですが、年齢とともに症状は落ち着いていくという研究結果もあります。周囲の人は、あせらず長い目で見て関わっていくことが大切です。

 

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